昔から「不登校」という言葉はありましたが、現在不登校の児童が増加しているということをご存知ですか?
現在不登校の小・中学生・高校生は30万人にも迫る勢いです。この数字は過去最多です。
不登校の原因は様々とありますが、その中でも「規律性調節障害(OD=Orthostatic Dysregulation)」が不登校の子どもの約3〜4割ほど占めていると言われています。
子どもが起きられないのは理由がある、にもかかわらずあまり知られていないので、「甘えすぎ」もしくは「親の甘やかしすぎだ」とか言っちゃう人がいるんですね…
そんなことないです!
原因を知り、生活改善をすることが学校へ行くきっかけになったケースもあります。
ODについて本人がそしてその周りが知ることがまず第一STEPです。
この記事は「子どもが起きない!」の要約・感想をお伝えする記事です。
もしあなたの近くにいる「朝起きない!」子どもがODの症状に当てはまるようでしたら、改善していきましょう!
こんな人にオススメ
- 子どもが朝起きなくて悩んでいる
- 自分の身近に不登校の子どもがいる
- 自律神経や規律性調節障害(OD)について知りたい
タイトル 「子どもが起きない!」
著者:渡辺正樹 イラスト:むぴー
主婦の友社
不登校の子どもの現状
文部科学省の調査によると、2021年度は前年度よりも約50,000人も不登校の小中学生、高校生が増えて、過去最多の増加数を記録しているそうです。
不登校の児童は、300,000人に迫る勢いです。
不登校の原因
不登校はいじめなどいろいろな要因が絡み合っているとは思いますが、その中でも自律神経失調症が大きな原因の1つになっているという見方があります。
青少年の自律神経失調症には、「起立性調節障害(OD)」と言う病名が使われるようになっています。
この病気には、軽症を含めると、小学生の約5%、中学生高校生の約10%に見られるほどよくある病気だということです。
軽症なら日常生活にそれほど支障は無いですが、約1%は不登校になるほどの重症だと言われています。
規律性調節障害(OD)って?
起立性調節障害とは、思春期の子供たちに見られる自律神経失調症のことです。
成長過程における心身の成長の遅れが原因で、血圧の低下(立つとクラクラ)、脈拍増加、倦怠感(手足が重い)、眠気、頭痛、腹痛などの症状が同時におきます。もちろん、個人差があります。
また朝はしんどかったが、昼、夜になると元気になっていくと言うのも、この病気の特徴です。そのため、朝に起きられなくなったり、動けなくなったりして学校にいけなくなってしまいます。
昼夜は元気なので、周りの人からも「本当に?」となってしまう訳です。
こういう症状の病気があると言うことを、本人やその周りが知っていないと、自分が自律神経失調症だと言うことにすらわかりません。
「なぜしんどいの?」と子供に尋ねても「わからない」となるんです。
まずは知ることが第一歩
まず、本人とその周りが自律神経失調症について知ることが大事です。
お子さんの不登校で悩んだ親御さんが、インターネットで調べて、病院に行って発覚するというケースが多いようです。
この病気の難しいところは、朝がしんどくなり、遅寝遅起きと言うパターンになりがちだということです。そのため、周りからは怠け病だと思われて理解されないことで、ますます患者が孤立を深めるということがあります。
起立性調節障害は治るの?
この生活がいつまで続くんだろう、と心配される親御さんも多いと思います。
この病気は治ります。
成長過程に起こるので、成長するに従って治る病気です。早ければ半年位で自然に治っていきます。しかし、場合によっては数年も学校に行けないこともあるようです。
病気がきっかけで始まった悪い生活習慣が定着してしまい、回復が遅れるということがあるようです。
ODの治し方
ODを克服するために、1番大切なのは、薬ではなくメリハリのある生活をすることです。
では、メリハリのある生活とは具体的にどういったことなのでしょうか。
いくつか紹介します。
朝は決まった時間に体を起こす
眠くて体を起こすことが難しくてもとにかく体を起ましょう。
これをしないとダラダラといつまでも寝てしまい、夜眠れなくなってしまいます。
どうしても難しかったら座って寝る、でも構いません。周りの人の助けを借りながら、まずは体を起ましょう。
夜は決まった時刻に寝る
子どもの年齢にもよりますが、23時には寝る、など寝る時刻を決めましょう。
眠れなくても、電気を消して、横になるだけでもいいです。
また眠る時刻の2時間前にはスマホやテレビ、ゲーム、パソコンをするのはやめましょう。
スマホのブルーライトが眠れなくする原因だとの見方もあります。
外出する
この病気は体を動かすことがとても大事です。
気分転換にもなります。
決まった時間に外に出て太陽の光を浴びる、体を動かして元気になるための筋力を維持する、これも症状の改善の強い味方になります。
筋トレ
ODの患者の子供を見ていると、ある傾向が見られたそうです。
それは運動不足で筋肉量の少ない子どもが多いと言うことです。
ODになると、午前中は脈拍の増加や血圧の低下などによりベッドから起き上がることもしんどくなります。
筋肉量が少ないと、体内にストレスが生じて、虚弱体質になるそうです。
筋トレといっても急に過度なトレーニングを始めると続きませんので、最初は部屋の中で負荷の低い筋トレから始めていきましょう。
YouTubeなどでも筋トレのチャンネルがありますので、自分ができるところから長く続けそうな負荷でやっていくといいと思います。
一人で黙々とやるより、楽しくできますよ♪
食事
筋トレと合わせて栄養面にも気を配らなくてはいけません。特に意識したいのは、タンパク質、ビタミンC、グルタミン、ビタミンB群の4つだそうです。
どれも大切ですが、とにかくタンパク質をたくさん摂ることを意識してください。
タンパク質を摂ることで筋肉を増やすことができます。
タンパク質を豊富に含む食品は、肉、魚、大豆、卵などが代表的です。普段のメニューよりもこれらのものを2割増位で食卓に出すよう心がけてみてください。
子ども用のプロテインも販売しています。手軽にタンパク質が摂れるので検討してみてください。
まとめ
実は、筆者も自律神経が乱れるホルモンの病気にかかっており、この病気のことが他人事だと思いませんでした。
自律神経の病気にかかった時は、自分の体で何が起きているのかわからず、とても困惑したのを覚えています。
その経験があるため、この本を読んだ時は胸がいっぱいになりました。
この「子どもが起きない!」には、私自身、病気が発症してからの経験で感じていることが書かれており、もし子供が起きないことで悩んでいる方がおられるのなら、そんな人の手助けになる本だと思いました。
ODは「怠け者」と勘違いされやすい病気です。ですが、原因の多くは自律神経失調症であり、決して怠けているわけではありません。
そのことをまず、本人とその周りの人が理解しておく必要があります。
また、この病気の難しいところは、親御さん達がご自身を責めてしまいがちだということです。
子供が不登校になってしまったら、それだけで教育が下手と烙印を押された気持ちになります。その苦労は計り知れません。
どうしてもお子さんと接することが多いお母さんに責任がいきがちですが、どうかご両親で協力し周りにも理解してもらいながらサポートをしていってあげてください。
お母さんが悪いなんてことは絶対にありません。
まずODについて理解すること、次に周りがサポートしてあげて、改善に向かって動き出すこと。
この記事がその助けになると幸いです。
最後まで読んでくださりありがとうございました。